Action合同会社 代表社員の古橋弘光です。
「金利が上がると、自分の運用にどう影響するんだろう?」「円安・円高で資産がどう動くのか、よく分からない」——そんな疑問を感じたことはありませんか?
金利、インフレ、為替。ニュースでよく聞く言葉ですが、これらが自分の資産運用にどう関わるのかを整理できている方は、意外と少ないのではないでしょうか。
私は金融業界で30年以上、相場と向き合ってきました。その中で学んだのは、「経済を当てにいく」のではなく、「どう動いても崩れにくい形を作る」ことが大切ということです。
この記事では、今の経済環境(金利・インフレ・為替)を私なりに整理し、運用にどう影響し得るかをお伝えします。
古橋弘光について

代表 古橋 弘光
1991年にダイワフューチャーズ(現ひまわり証券)に入社。金融業界で30年以上のキャリアを持つ。トレイダーズホールディングス取締役、トレイダーズインベストメント代表取締役などを経て、2023年7月にAction合同会社を設立。
| 1991年4月 | ダイワフューチャーズ株式会社 (現 ひまわり証券)入社 |
|---|---|
| 2006年5月 | 株式会社インベスト 代表取締役 |
| 2018年4月 | トレイダーズ証券株式会社 入社 |
| 2019年6月 | トレイダーズインベストメント株式会社 代表取締役 |
| 2020年6月 | トレイダーズホールディングス株式会社 取締役 |
| 2023年7月 | Action合同会社 代表社員(現任) |
| 保有資格 | CTA(米国商品投資顧問)、 証券外務員資格1・2種、内部管理責任者資格、 金融先物取引業務外務員資格 |
Action合同会社が考える前提:経済は「当てにいく」より「範囲を置く」

景気、金利、物価、為替——いわゆる「マクロ」は、当てにいくほどブレます。だから私は、「予想」よりも先に「前提(起こり得る範囲)」を置くようにしています。
たとえば、いまの日本は金利が上がり始めた局面です。日本銀行の政策金利は0.75%水準(2026年1月の会合時点)。同時に、物価は落ち着きつつも2%前後の上昇が続いています。
こうした状況で、「円高になる」「円安になる」と一点読みをするのは危険です。私は複数のシナリオを置いて、それぞれの案件への影響度を先に整理します。
具体的には、以下のような整理の仕方です。
【複数シナリオの例】
- 金利:上がる/横ばい/下がる
- 物価:2%前後で粘る/再加速/落ち着く
- 為替:円安が続く/反転する/レンジで推移
「当てにいく」のではなく「範囲を置く」。この考え方が整理できると、相場が動いたときに慌てずに済みます。
古橋「予想が外れた」と落ち込む人は多いんですが、そもそも一点読みしているから外れるんですよ。複数のシナリオを持っておけば、どれかは当たっている状態になりますから、心理的にも楽なんです。
実運用での話(2025年7〜9月)
2025年7〜9月は、リスク資産のボラティリティが高い状態が続きました。こういう局面ほど「当てにいく」より先に、複数シナリオを前提にして余白を残しておくと、急な値動きでも判断がブレにくくなります。
実際、この四半期は待機資金を残しながらの運用スタートでしたが、ポートフォリオ全体ではプラスリターンを確保しています。



こういう時期は「当てにいく」と、外れた瞬間に判断が雑になりやすいんです。だから最初から“どう動いても崩れにくい形”にして、淡々と運用できる状態を優先します。
金利が上がる・下がると何が起きやすいか(一般論)


金利は、運用にとって「空気みたいに効く」変数です。目に見えにくいですが、じわじわと影響が出てきます。
一般論として、金利の動きと起きやすいことを整理すると、以下のようになります。
| 金利の動き | 起きやすいこと |
|---|---|
| 上がりやすいとき | ・借入コスト増 → 資金繰りが弱い先ほど苦しくなりやすい ・安全資産の利回りが上がる → リスク資産の評価が厳しくなりやすい ・円金利上昇 → 条件次第で円高方向の圧力になり得る |
| 下がりやすいとき | ・資金調達が楽になる → 事業は回りやすいが、投資の過熱も起きやすい ・金利差が広がる → 条件次第で円安方向の圧力になり得る |
いまの日本は、少なくとも「金利が上がる可能性をゼロにできない」環境に入っています。実際に0.75%へ引き上げられ、追加利上げの議論も出やすい状況です。
だから私は、案件を見るときに「金利がもう1段動いたらどうなる?」を必ずチェックするようにしています。この視点を持っておくと、急な変化にも対応しやすくなります。



金利って、上がり始めるとしばらく続くことが多いんですよ。だから「今0.75%だから大丈夫」ではなく、「1%になったら?1.5%になったら?」と先を想像しておくのが大事だと思っています。
インフレが続くと預金だけでは何が起きやすいか


インフレと預金金利の関係を、シンプルに整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| インフレ | モノやサービスの価格が年2〜3%上がる |
| 預金金利 | 普通預金は0.001%程度(ほぼ増えない) |
つまり、名目の金額が減らなくても、「買える量」が減りやすいということです。
具体的な例で見てみましょう。100万円を普通預金(金利0.001%)に1年置くと、利息は約10円で100万10円になります。一方で物価が2〜3%上がると、同じ100万円でも買える量は目減りします。実質的には約97.1万〜98.0万円分の購買力になり得るのです。
この「実質目減り」が、インフレ局面でいちばん起きやすい現象です。
なお、普通預金金利は引き上げの動きもありますが、それでもインフレ率とのギャップは残りやすいのが現実です。物価についても、統計上は2025年の年平均で上昇が確認されています。この事実を踏まえておくと、「預金だけで安心」とは言い切れないことが分かります。



「減っていないから大丈夫」と思いがちなんですが、数字が減らなくても価値は減っている——これがインフレの怖いところなんですよ。
為替(円安・円高)は投資判断にどう影響し得るか


為替は「当たる・外れる」になりがちなので、私は「当てにいく」のではなく、影響の出方だけ先に押さえるようにしています。
| 為替の動き | 起きやすいこと |
|---|---|
| 円安になりやすいと | ・輸入コスト増(燃料・原材料など)→ 企業の利益圧迫 or 価格転嫁 ・外貨建て資産の円評価は増えやすい(ただし出口のタイミングでブレる) ・日本から見た海外投資は入りづらくなることも |
| 円高になりやすいと | ・輸入コストは落ち着きやすい ・外貨建て資産の円評価は減りやすい(同上、タイミング要注意) ・日本の金利上昇や金利差縮小が背景なら、相場観が変わりやすい |
市場では2026年にかけて「金利差(特に日米)の変化」が為替の軸になる、という整理がよく語られます。ただ、為替は金利差だけで動かない局面もあります。リスクオン・オフ、政治イベント、介入観測など、さまざまな要因が絡みます。
だから私は、「為替を予想して賭ける」のではなく、為替に左右される部分を小さくする設計を優先しています。この考え方があると、為替がどちらに動いても慌てずに済みます。



為替を当てようとすると、本当に疲れるんですよ。プロでも外すことが多い。だから「当てる」よりも「振り回されない形を作る」方が、長い目で見ると楽だと思っています。
Action合同会社の3つの考え方を経済環境とどう繋げるか


最後に、Action合同会社が大切にしている「透明性・分散・ルール」の考え方を、経済環境とどう繋げるかを整理します。
※この3つの考え方の詳しい内容は、別記事「Action合同会社が大切にしている「透明性」「分散」「ルール」」でお伝えしています。ここでは、経済環境との接続に絞ってお話しします。
| 考え方 | 経済環境との繋げ方 |
|---|---|
| 透明性 (見える運用) | 金利・物価・為替のどれに、どれくらい影響を受ける案件なのかを先に見えるようにする。いわば「影響度の棚卸し」。 → 経済が動いたときに「何がどう影響するか」を把握できる状態を作る。 |
| 分散 (偏りを作らない) | 「同じ経済要因で同時に崩れる偏り」を避ける。 → 回収期間、収益の源泉、取引先、通貨の影響など、さまざまな角度から偏りを減らす。 |
| ルール (感情で動かない) | 相場が荒れたときほど、場当たり的な判断になりやすい。 → 「どの条件で増やす・止める・見直す」を事前に決めておき、淡々と運用判断する。 |
要するに、経済を当てにいくのではなく、「経済がどう動いても崩れにくい運用の形」を作る。私はこの順番で整理しています。
【関連記事】
「透明性・分散・ルール」の考え方をより詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
→ Action合同会社が大切にしている「透明性」「分散」「ルール」



経済の先読みが当たる人って、正直ほとんどいないんですよ。だからこそ、「当てにいく」より「どう動いても大丈夫な形を作る」方が現実的だと思っています。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の勧誘・推奨を意図するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
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